枡のアレンジはさまざま
現在では四角の寸法が正しく決めて作られていますが、年貢の徴収をごまかすために、
改造を施したものを利用することで不当な利益を得ていた、という事例が過去に存在していました。
戦国時代の有名な武将が計量をきちんと決めて世に広めたのはよいものの、
それでも依然として改造したものを利用していたため、領主たちの年貢への執念の深さが窺えます。
現代ではこれを使っての計量をするところはほぼ見られなくなりましたが、
お祝いの席上で縁起担ぎのために重宝されており、結婚式や記念イベントの際によく見かけられています。
この時用いられる枡の体積はニ升五合とされているのですが、言葉の綾で縁起を担ぐ「判じ物」とされる呼び方で、
「ニ升」が升ふたつで「ますます」、「五合」が半升で「はんしょう」から「繁盛」へとつないで、
「ますます繁盛」とゲンを担ぐ商売の面白さがあります。
現代でもこの判じ物を使ったゲン担ぎがされていますが、
特殊な刻印をアレンジすることで見栄えをよくするサービスが現れており、
単純にヒノキを用いた飲酒用のものもあれば、レーザー刻印で繊細な表現を印刷するものもあれば、
プラスチックでできたものもあり、空(から)に満たす際のお米や酒で縁起を起こす容器に、
自社などのロゴを印刷することで販促ノベルティグッズとして配ることなどに活用されています。
酒好きな方以外でも好んで使われている枡ですが、まだまだゲン担ぎは不思議と継続しているように思います。